実家に眠る骨董品、捨てる前に見てほしいポイント
2025年10月22日 22:55
はじめに:捨てられていく“価値あるものたち”
家の片付けや遺品整理の現場では、長年大切にされてきた品々が次々と処分されていきます。
特に「古いもの」「使わないもの」という理由だけで、骨董品や工芸品、茶道具などが捨てられてしまうことは少なくありません。
しかし、骨董の世界では「古いからこそ価値がある」ものが数多く存在します。
実家の押し入れや蔵の奥に眠っている品々の中には、思わぬ高値がつくものが眠っているかもしれません。
この記事では、実際に現場で数多くの品を見てきた視点から、
「捨てる前に見るべきポイント」「見落としがちな価値のサイン」を解説します。
第1章 骨董品とは何か 〜「古い=価値」ではない世界〜
「骨董品」と聞くと、古い壺や掛軸、古民具を思い浮かべる方が多いですが、
骨董の定義は「古くて価値のあるもの」。
ただし「価値」がどこに生まれるかは時代と共に変化します。
たとえば、明治・大正期に作られた陶磁器や工芸品は、当時は日用品でした。
ところが今、それらは“日本の手仕事”として国内外で再評価されています。
一方、昭和の量産品の中にも、デザイン性や希少性から人気が高まるものがあります。
つまり骨董の世界では、「古さ」よりも「時代性」「作り」「状態」「市場需要」の4つが価値を決めるのです。
第2章 “捨てる前に”見てほしい代表的なジャンル
実際に査定現場で見落とされやすいのは、次のようなジャンルです。
① 茶道具・花器・香炉
一見、ただの古い茶碗や鉄瓶に見えても、作家物や特定窯元の作品は高値になることがあります。
銘や刻印があるか、箱書き(共箱)に作家名があるかを確認しましょう。
とくに「龍文堂」「亀文堂」「京焼」「備前」「信楽」などは要注意。
無銘でも、形や質感に味があれば評価対象になります。
② 絵画・掛軸・書
額縁がボロボロでも中の紙や布に価値があるケースがあります。
掛軸は「共箱」や「印章」が残っていれば、再評価の対象。
肉筆(印刷ではなく直筆)かどうかも大事なポイントです。
③ カメラ・時計・オーディオ
古いカメラや時計は、動かなくてもジャンクで取引されます。
特に「セイコー」「オリエント」「ミノルタ」「オリンパス」など、昭和ブランドは海外で人気。
箱・レンズキャップ・保証書などの付属品も、価値を上げる要素です。
④ 陶磁器・漆器・食器類
贈答品のまま押し入れに眠っている陶器・漆器・ガラス器。
「未使用・箱付き」は国内需要だけでなく、中国市場でも取引されます。
九谷焼・有田焼・京焼・輪島塗など、裏の印やシールを必ずチェック。
⑤ コレクション雑貨
テレカ、ZIPPO、フィギュア、ブリキ玩具なども再注目されています。
“懐かしさ”が価値を生むジャンルで、完品・未使用なら数千円単位で取引されることもあります。
第3章 見落としがちな「価値のサイン」
骨董の見極めでは「直感より観察」が重要です。
次のような部分をチェックしてみてください。
サイン(刻印・印章・署名)
裏や底に小さく刻まれた銘は、作家名や窯元を示しています。
知らない漢字や印でも、写真に撮って調べると有名作家のものだった、ということも。共箱(きょうばこ)・書付
桐箱の蓋に筆で書かれた銘は、作家や時代を特定する手がかり。
捨てずにセットで保管しておくのが鉄則です。質感と重み
手に取ったときの“しっとり感”や“ずっしり感”は、職人仕事の証。
軽く薄い量産品との違いは、触ると誰でもわかります。古さの“味”
経年変化による風合い(貫入・金属の錆・木の艶)を味と見るのが骨董の視点。
“汚れ”と判断して磨いてしまうと、かえって価値を下げることもあります。
第4章 「これはゴミではなく歴史」 〜よくある誤解〜
「誰も使っていない」「古いから価値がない」という思い込みで捨てられるものは非常に多いです。
実際、骨董の価値は“使われなくなった瞬間”から上がることもあります。
たとえば古い鉄瓶や香炉などは、実用品としてではなく「観賞用」として再評価されているのです。
また、「現代作家のものだから骨董じゃない」と思われがちですが、
人間国宝や人気作家の初期作品は将来的に価値が上がるケースもあります。
骨董の世界は「時間を味方につける市場」でもあるのです。
第5章 プロが見る「本当の価値」
骨董のプロは、単に高く売れるかどうかだけでなく、**“次に受け継がれる価値”**を見ています。
市場やオークション、海外需要など、多面的に判断しているのが特徴です。
たとえば龍文堂の鉄瓶ひとつでも、
・蓋の摘みの形
・注ぎ口の角度
・底の刻印
・持ち手の作り
これだけで価格が数万円単位で変わります。
写真だけで判別するのが難しいため、できれば現物を見てもらうのが理想です。
第6章 よくある質問
Q. 汚れていたり欠けていても買い取ってもらえますか?
A. ものによりますが、欠け・ヒビがあっても評価対象です。特に古陶磁器や鉄瓶はジャンクでも取引があります。
Q. どんなものを持って行けばいいかわかりません。
A. 「もしかして骨董かも?」と思ったら、まとめて写真を送るのが早いです。
査定側が仕分けますので、無理に選別しなくて大丈夫です。
Q. 地元でも見てもらえますか?
A. 滋賀県内全域で無料訪問査定に対応しています。
地元の方が安心して頼めるよう、しつこい営業や勧誘は一切ありません。
第7章 査定を頼むときのコツ
査定依頼の前にしておくと良いことがあります。
埃は軽く払う程度でOK
磨いたり洗ったりすると価値を落とす場合があります。箱・付属品は一緒に
共箱・共布・栞・保証書など、全て価値判断の材料になります。写真は明るく、全体と刻印を撮る
スマホで十分ですが、自然光で撮ると状態が伝わりやすくなります。
第8章 時代が変わっても残る「古き良きもの」
日本は今、再び「骨董ブーム」が訪れています。
ミニマリズムや断捨離の流れの中で、“本当に残すべきもの”を見直す動きが広がっています。
若い世代が古民家や古道具を取り入れるようになり、
「古い=重い」から「古い=味がある」へと価値観が変わりつつあります。
あなたの実家にも、そうした「時代を超えて愛されるもの」が眠っているかもしれません。
それを見つけ出し、次に渡すことは、単なる片付けではなく「文化の継承」です。
まとめ:一度、見てもらう。それが最初の一歩。
骨董の価値は、自分で判断するよりも「見てもらう」ことが早道です。
プロの目で確認すれば、思わぬ価値が見つかることがあります。
捨てる前に、写真を撮ってLINEで送るだけで構いません。
実家の思い出を次につなぐために。
「これ、どうかな?」と思ったら、一度ご相談ください。
滋賀の“やましょう”が丁寧に拝見いたします。